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極上の歌と演奏とパフォーマンスが融合した、壮麗なエンターテインメントショー開幕! 郷ひろみデビュー52年目の新境地がここに!

2023.12.10

『HIROMI GO SPECIAL SHOW 2023 THEATER HIROMI-Za “Majestic Voyage”』
2023年12月8日@THEATER MILANO-Za ライブレポート

ロビーに足を踏み入れた瞬間から“壮麗な航海”は始まっていた

感動と驚きと興奮とを同時にもたらしてくれる“新しいエンターテインメントショー”が繰り広げられた。郷ひろみの歌の世界に酔いしれ、バンドとストリングスの演奏に体が揺れ、ダンサーたちのパフォーマンスに胸が躍った。12月8日から17日にわたって行われる10公演のスペシャル・プレミアム・ライブ『HIROMI GO SPECIAL SHOW 2023 THEATER HIROMI-Za “Majestic Voyage”』の初日公演の模様をレポートしよう。


Photo:Shinya Ohira

ショーのタイトルの中にある“Majestic Voyage”を日本語で訳すると、“壮麗な航海”といったところだろうか。ロビーに足を踏み入れた瞬間から、すでに魅惑の空間が広がっていた。エントランスの近くで、赤いハットと赤いジャケット姿で、マスクをつけたピエロがパフォーマンスしながら観客を出迎えてくれる。この他にも、歴代のステージ衣装の展示スペース、「GOガチャ」コーナー、写真撮影スポットなど、趣向を凝らしたコーナーがたくさんある。“観客に喜んでもらいたい”という郷の気持ちが伝わってくるようだった。ショー中盤のMCで、ショーの趣旨について、郷がこう説明していた。

「51年目からまた新たな目的地に向かいたいと思い、今年行ったツアーのタイトルを『NEW INTENTIONS(新たな目的)』としました。今回のショーは、航海に出て、新たな目的地を目指しながら港町に寄り、素晴らしいパフォーマーたちと出会っていくというイメージで楽しんでいただけたらと思っています」


円熟味を増しながらも、新境地も開拓していく斬新なステージ

開演前の場内では、仮面の道化師が通路でパフォーマンスを披露したり、観客と交流したりしていた。ショーの始まりの合図は汽笛の音だ。“壮麗な航海”の始まりの曲はスケールの大きなバラードだった。白い光とベールに包まれて、郷がまるで宙に浮いているかのような高いポジションで歌っている。深みと広がりと温かさを備えた郷の歌声と優美なストリングスの調べが胸に染みてくる。空と海の間で鳴り響くような歌と演奏だ。その曲の終わりで照明が明るくなり、ステージの全貌が明らかになると、客席から驚きの声が上がった。


Photo:Shinya Ohira

異世界の港町が出現したかのようだったからだ。オールキャストも集合している。下手と上手と中央に階層構造のステージがあり、神殿風の柱、石造り、レンガ造りなど、さまざまな時代のさまざまな地域の都市がミックスされたような不思議な空間が広がっている。各所に配置されているキャストは、まるで神話の登場人物のようだ。

郷が全幅の信頼を寄せるおなじみのバンドのメンバー、田中直樹(Leader/Guitar/Keyboard)、沼井雅之(Keyboard)、小南数麿(Guitar)、中野周一(Drums)、渡辺陽一(Bass)、山本一(Sax/Fl)という6人に加えて、パーカッショニストの丹菊正和も参加。さらに女性ソリストのユニットであるMuTiAの6名(メンバーは日替わり)、空中パフォーマンスを得意とするYUKA、女性アクロバットダンス・カンパニー『G-Rockets』の金川希美と廣瀨水美、ダンサーのRISA、松田尚子、福島玖宇也という豪華メンバーが結集して、ファンタジックな空間を構築していた。


Photo:Shinya Ohira

曲によって編成も自在に変わっていく。郷の情熱的な歌声が印象的な「Bang Bang」では、炎のような真っ赤なドレス姿でのしなやかなダンスパフォーマンスも披露された。「哀愁のカサブランカ」では歌の歌詞とシンクロするかのように、男女のダンサーが恋物語を彩っていく。じっくり聴かせる曲、感情の機微を見事に表現している曲が目立っていた。終演後に郷が「900人に届けるのではなくて、一人一人に届ける意識で歌っています」と語っていたが、その言葉どおり、1曲1曲の世界観がしっかり届いてくる。会場内には最初から最後まで、ステージ上と観客との間で濃密な一体感が漂っていた。


Photo:Shinya Ohira

Photo:Shinya Ohira

「今回のショーでは『お嫁サンバ』も『2億4千万の瞳』も『GOLDFINGER'99』もやりません。それらの曲がなくても、これだけ盛り上がるショーになることを、実感していただけるのではないかと思っています」と語っていたが、郷の歌のパワーと表現力の豊かさは突出している。1曲ごとに会場内の空気の色合いがガラッと変わっていく。起伏に富んだ流れに何度も息をのんだ。選曲されていたのは、70年代、80年代、90年代、2000年代、2010年代と、各年代からピックアップされていた。50年以上コンスタントに活動している彼だからこそのセットリストだろう。存在感のある歌とパフォーマンスと照明とセットとの相乗効果で、空間アートとしての魅力も堪能できるステージだ。ステージの高低差や高さを効果的に使った演出は、この会場ならではだろう。


歌の世界観と郷ひろみの人生の思いとが重なる瞬間があった


Photo:Shinya Ohira

「新宿歌舞伎町は実は昔から縁のあるところです。僕が初めてステージに立ったのは新宿ニューACBというライブハウスで、1971年のことでした。フォーリーブスのトシ坊(江木敏夫)の衣装を借りた記憶があります。その時はギターに合わせて音が取れなくて」と、わざと音程をはずして、当時の歌の真似をする場面もあり、会場内が笑いに包まれた。歌で客席の意識を集中させ、MCで和ませるところはさすが。「当時より少しは歌、うまくなっているかな」という言葉に続いて披露されたのは、2010年発表のバラードの名曲「愛してる」だった。この歌の中の<歩いてきた道のりは><まぎれもない僕らの色>などのフレーズがダイレクトに届いてきたのは、今の彼の包容力あふれる歌声があるからこそだろう。バンドのコーラスワークも効果的だった。

静と動のバランスも見事だった。その動の部分、場内に強烈なエネルギーが渦巻いたのは「Zeroになれ」だ。バンドのジャジーにセッションに続いて、郷のしなやささと強靱さを備えたな歌声がスリリングに響く。ステージ上では3人のダンサーが赤いひもで縛られながら、パフォーマンスを展開している。郷の歌に会場内が熱狂し、バンドの演奏とパフォーマンスによってさらに会場内が熱気に包まれていく。ここから「若さのカタルシス」へとたたみかけていく展開も圧巻だった。そして強く胸を揺さぶられたのは「君だけを」だ。郷の歌声を軸として、バンドもストリングスも一緒に歌うかのような演奏だ。歌が終わった瞬間の割れんばかりの拍手からは、観客の感動の大きさも伝わってきた。


Photo:Shinya Ohira

「たくさんの拍手をどうもありがとう。みなさんの拍手や声援が僕にとって力になります」という郷の言葉に、また大きな拍手が起こった。通常のコンサートとは違うシアトリカルなショーということで、観客は終始座ってショーを鑑賞してしたのだが、内側からじわじわと熱いものがこみ上げるステージとなったのは間違いないだろう。

ショーの後半は、バラードの名曲が続く構成になっていた。一つひとつの言葉を丹念に歌う姿が印象的だった。歌の世界観と一人の人間としての心情が重なっている瞬間があったのではないだろうか。ラブソングであると同時に、観客に向けての愛と感謝を込めた歌としても響いてきたからだ。ダンサーの空中パフォーマンスなど、観客の想像力をかき立てていく演出も鮮やかだった。最後の曲を歌い終わった瞬間に、観客が立ち上がり、拍手と歓声を送っていた。ファンタジックな音楽の壮麗な旅であると同時に、歌の数々から人生の旅を連想する瞬間もあった。歌とバンドとストリングスとパフォーマーのヒューマンパワーを結集した人間味あふれるエンターテインメント空間が出現していた。観客の心を揺さぶる初日公演だった。


Photo:Shinya Ohira


テレビとは違う、ここでしか観られない郷ひろみを楽しんでもらいたい

終演直後の楽屋で、郷に初日の感想を聞くことができた。初日の手応えについては、こんなコメント。

「最後まで、息を抜けないステージ、凝縮されたステージでした。バンド、ストリングス、パフォーマーと多くの方が参加していますが、人数が増えるほどに、すべての人とタイミングを合わせる必要があるため、神経を使います。僕の動くタイミングがズレてしまったら、他の方の計算が合わなくなりますから。こんなにも一瞬たりとも気を抜けないステージは久々でした。しかも最後はバラードで、ピアノ1本だけなので、すべてが僕にかかってきます。かなりの緊張感がありました」


Photo:Shinya Ohira

だが、そうした緊張感も集中力に変換して、郷は観る人の心に残る素晴らしいステージを展開していた。新しい形態のエンターテインメントショーであり、THEATER MILANO-Zaという新しい場所での10公演のステージ、この新たな挑戦、どう感じたのだろうか。

「劇場としての要素と新しさとが共存している感覚がありますね。この空間の中でどう表現していくのか。感覚をつかみながらのステージになると感じています」

初日から完成度の高いステージを披露していたが、どんな時も向上心を持ち続けている彼のことだから、日々最高到達点を更新し続けていくことになるのだろう。「観に来る人へのメッセージを」とお願いすると、こんな言葉が返ってきた。

「これまでの僕とは違う面の出るショーになっていると思います。テレビで観ている郷ひろみはテレビの中に置いてもらって、このTHEATER MILANO-Zaでしか味わえない郷ひろみのショーを、多くの人に味わっていただきたいですね」

1971年に新宿歌舞伎町のニューACBというライブハウスで初ステージを行ってから、52年あまり。今もなお、新境地を切り開き続けている姿勢とその努力は驚異的だ。郷ひろみはまた新たな音楽表現の可能性の扉を開けたところだろう。その扉の先の景色は、とても刺激的であるに違いない。航海は始まったばかりだろう。自分の目と耳で、そして肌で、この壮麗にして創造的な空間を味わうことは、きっと忘れがたい体験になるだろう。必見のショーだ。


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HIROMI GO SPECIAL SHOW 2023
THEATER HIROMI-Za “Majestic Voyage”

2023年12月8日(金)~12月17日(日)
お問合せ:ライブエグザム
 https://www.liveexsam.co.jp/contact/

公演詳細はこちら


文:長谷川 誠

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