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劇場の中のひと
株式会社ワクワクワークス 林洋臣統括マネージャー、大須賀真穂マネージャー、辻村美紀インタビュー
2025.9.5
2023年4月の開業から様々な公演を上演してきたライブエンタメシアター<THEATER MILANO-Za>では、公演ごとに特製のコラボドリンクを提供している。公演をイメージしたカラフルで美しいドリンクは、味も美味しくて毎回大人気。劇場内のZa Barを運営している、株式会社ワクワクワークスの林洋臣さん、大須賀真穂さん、辻村美紀さんに話を聞いた。
左から林洋臣、辻村美紀、大須賀真穂
――まず、株式会社ワクワクワークスはどのような会社なのでしょうか?
<林> エンターテイメントと飲食事業を中心とした会社で、若い頃より一緒に仕事をしていた先輩に誘われて会社にはいりました。ただ、現場を見るスタッフがひとりしかいなかったんですよ。それが不安だったので、ちょっと一緒に来てもらいたいという感じで大須賀を誘いました。昔から知っていたんです。
――別のところで一緒にお仕事されていたということですか?
<大須賀> 元々は、若かりし頃に、林さんのお店で私がアルバイトをしていて。
<林> 10年ぐらい前だよね。恵比寿のbarで。
<大須賀> お洒落なかわいいお店で働いていました。
<辻村> 私はコラボレーションカフェのアルバイトの時に、社員にならないかと誘っていただいたんです。『舞台・エヴェンゲリオン ビヨンド』の途中から入りました。
――それまでも何か飲食関係で働かれていたんですか?
<辻村> ライブハウスのカフェで、バリスタみたいなバイトをしていました。
――皆さん、飲食関係が好きな人生を送られてきたんですね。
<大須賀> 私は食べるのと飲むのがとにかく好きで、それまで、新体操のインストラクターと飲食店を駆け持ちでアルバイトをしていたんです。就職をそろそろしたいなという時に、食べものと飲みものがなくならない業界がいいと思って(笑)。それで、飲食店に就職したんです。
――辻村さんも何かのインストラクターをやっていたとか?
<辻村> やってないです。一般人です(笑)。
<林> 元々音楽専攻だったんだよね?
<辻村> 楽器を弾くのが好きです。高校生の時にバンドをして、専門学校で作曲して、今は趣味でヴァイオリンをやっています。
――そうなんですね! お姉さんもここでアルバイトされてるんですよね。
<辻村> お姉ちゃんは何もしてないです。お姉ちゃんは吹奏楽部と美術部で、歌も絵も上手いです(笑)。
――へぇ! カラオケに行ったら何を歌うんですか?
<辻村> お姉ちゃんはアニメ系、私はJ-POPなどの流行りの曲ですね。
開業からの試行錯誤
――お三方が揃って、開業からの2年半はいかがでしたか?大変だった事など教えていただけないでしょうか。
<大須賀> 劇場運営のみなさんは一緒だと思うんですけど、毎公演初日は本当に怖いです。毎公演、毎公演、何が起こるかわからなかったりするので。
<辻村> 私は、Tani Yuukiさんのファンクラブイベント(『年忘れだョ!全員集合!谷乃湯祭』)の時にひとりで大慌てして。思っていた以上にお客様が来てしまって。歌舞伎(『歌舞伎町大歌舞伎』)のときは材料が全然足りなくて。公演期間の半分くらいの材料が、三日くらいでなくなってしまって、発注は間に合わないし、どうしようってなりました。
<林> 初日がゴールデンウィークで、追加発注ができなかったんだよね。
<辻村> 歌舞伎ファンの方はあまり来ないかなって言っていたら、すごくたくさんいらっしゃって。
<林> 推し活は歌舞伎ファンにはないのだと思っていたらね。
――お客様から何か言われて嬉しかったこととか、何かエピソードとかありますか?
<大須賀> 「おいしい」とか、「かわいい」とか、リアクションをいただけることがすごく多いので嬉しいです。レストランをやってると小声で聞こえてくるみたいなことはあるんですけど、「おいしいです」とか、「めっちゃかわいい! ありがとうございます!」っていうのを直でいただけるっていうのは、ここの喜びのひとつなのかなと思います。リアクションがダイレクトにいただける。
――公演と結びついてるからSNSでも感想がどんどん出てくるんですよね。皆さんが今まで作ってきた中で、“私の推しドリンク”とかあったりしますか?
<大須賀> 私は2023年の『パラサイト』で出してた「暗渠 ―あんきょ―」っていうオリジナルドリンクが好きです。キウイピューレとレモネードゼリーが入っている黄緑色のドリンクで、味も好きでした。自分で作っているので、全部好きな味なんですけど、開業して間もない頃だったので、いろいろ考えながら作っていたんです。ボトルの形状が、蓋で閉めるから、上にトッピングとかができないんですよ。グラス提供だったら上に置けたり、高さを出した映えさせ方みたいなことができるんですが、このボトルは、アルコールもダメだし、炭酸もダメだしという制約があるなかで、試行錯誤して考えていたという思い入れもあるんですよね。
『パラサイト』公演時に制作したドリンク3種。「暗渠 ―あんきょ―」は中央。
――ここまでの試行錯誤では、氷のこととかもありましたよね。
<大須賀> 氷が大きすぎてボトルに入らなかったんですよね。
<辻村> だから、最初の頃はお水をかけて、溶かして、小さくしてボトルに入れていたんです。
<大須賀> 永遠に氷を作る人がひとりいて、製氷期間に入りますって(笑)。ボトルの変更に伴って氷が入らなくなったんです。それから半年くらいで、クラッシュアイスの機械が来るまでは、結構悩まされた問題でしたね。
――なぜ途中でボトルが変わったんですか?
<大須賀> ボトルの生産が追いつかなくなったようです。今は新しいデザインのボトルと以前のデザインのボトルを、公演によって使い分けています。実は『ブルーマングループ 2025』は両方使っていて、ドリンクの種類や内容によって使い分けています。(※注 『ブルーマングループ 2025』公演中にインタビューを実施しています。)
<林> ボールアイスが中に入っているものは、口が狭いボトルだと中から出せないんですよね。
――花氷とかも作ってましたよね。
<大須賀> 初期の頃で、劇団☆新感線のいのうえ歌舞伎『天號星』の水色のドリンクにも花氷が入ってましたね。
<辻村> 幸運のナントカみたいなのでしたね。
<林> 巫女役をイメージした、花みくじだっけ?
<大須賀・辻村> 開運ドリンク!
いのうえ歌舞伎『天號星』コラボドリンク「神降ろし堂の開運ドリンク」
――飲めば一気に運気上昇!「神降ろし堂の開運ドリンク」ですね!主催のヴィレッヂさん事務所まで打ち合わせに行きましたね。どういうドリンクを作ろうかと、台本も読んでもらって。
<大須賀> 行きましたね。
花氷
――お花が入った氷は、その状態で納品されてくるんですか?
<大須賀> ここで作るんです。お花を洗って、大きかったらバラして、製氷トレイにお花を入れて固めて。
――めちゃくちゃ手間がかかりますよね。花氷が切れちゃうと、その商品は出せなくなるんですね。
<大須賀> 『天號星』の時も、本当に大好評で。
――売れましたよね!辻村さんの推しドリンクは何ですか?
<辻村> 今年の音楽朗読劇 READING HIGH premium『TAIL to TALE ~Story from 義経千本桜~』の「夜桜」が一番かわいくできたなと思って。
『TAIL to TALE ~Story from 義経千本桜~』コラボドリンク「夜桜」
――それは辻村さんのプロデュース?
<辻村> 真穂さん(大須賀)とふたりで話しながら作りました。今までで一番可愛かったなと思ってます。こだわりは、公演主催者さまから夜桜の風景写真をいただいて、それに合わせた色でグラデーション作ろうと。花びらを入れて夜空と桜みたいなグラデーションに綺麗にできたので、良かったなと個人的に思います。
――苦戦したドリンクとかありますか?
<大須賀> 結構それはたくさんあって、ドリンクを作る時に作品のネタバレはしちゃいけないじゃないですか。というところが結構私は難しいのかなと思っていて。良い具合に匂わせる、お客さまの気持ちを掻き立てるみたいな。
――『blue egoist』とかすごくハマった感じの印象がありますね。
<大須賀> あれはキャラクターのテーマがはっきりしていたので、私は作りやすかったなと思います。
『blue egoist』公演時のコラボドリンク。
――林さんはふたりが開発してくるドリンクを見守って、林さんのOKを通して?
<林> そうですね。最後に見て。精度が確実に上がってきているので、最近は言う意見が減ってきていると思っています。美味しいのは当たり前なんですけど、やっぱり公演コラボドリンクの時は、記念になるような、記憶に残るようなインパクトのある味にしたほうがいいなと思い、もうちょっと強くした方がいいとか、甘くしたほうがいいとか言います。
<林> トータルデザインは、『天號星』と、『ハイロー』(『HiGH&LOW THE 戦国』)、『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録- 』は、ドリンクの色とステッカーの色と素晴らしかったという思い出があります。ステッカーもデザインとかができないと自由度がないので、意外と気をつけないといけないですね。ステッカーからデザインする時って、お客様はこういうものを記念として持って帰るんだろうなとか、そういうのを想像してドリンクができて、それがハマったときに良かったなと実感します。
いのうえ歌舞伎『天號星』コラボドリンク4種
戦国時代活劇『HiGH&LOW THE 戦国』コラボドリンク3種
ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録- コラボドリンク3種
最新コラボドリンク。ミュージカル「Fate/Zero」~A Hero of Justice~
――次回はミュージカル「Fate/Zero」の後編ですね。前編が今年の1月から2月にかけて上演されて、コラボドリンクは過去最高の売上でした。7名のサーヴァントのキャラクターに寄せたドリンクを作ったんですが、1公演平均で400本ほど売れました。今回も7種類のドリンクをご用意なさっています。
<辻村> 1個は前編の復刻です。前編で一番人気でした。
<大須賀> 全部制覇する方もいらっしゃいましたね。7本買ってくださって。
前編からの復刻ドリンク「エクスカリバー」の制作過程。花氷も入っている。
――辻村さんは個人的に好きなドリンクとかはありますか?
辻村 私は「彼方にこそ栄えあり」が一番味が好きで、見た目もかわいくできたなと思ってます。バタフライピーティーの青がキレイです。(↓最下部の写真内、左から三番目)
――大須賀さん的には?
<大須賀> 私はビジュアルがいいなと思っているのが、「セイバー・モータード・キュイラッシェ」のグリッタードリンクです。かわいく、今までにない感じだったので、新しい挑戦です。(↓最下部の写真内、左から二番目)
――エルダーフラワーが入ってるんですね。
<大須賀> ハーブのシロップです。
<林> 香りとか後味に特徴がある、お花のシロップみたいな感じですね。これに似ているというのがないと思います。
<大須賀> 今回はノンアルコール赤ワインのドリンクありますよ!「エデンの蛇」です。(↓最下部の写真内、右から三番目)
<林> 確かにノンアルワインは珍しいなと思いました。
<大須賀> 初めてです。正直なところお高いんですよ。原価合わせて、これくらいの量だったらいける?みたいな(笑)。
<辻村> 相談しましたよね(笑)。
<林> 今回僕はあんまり口出ししなかったですね。特徴的に似たようなものがなかったしね。
――ちなみに、アルバイトの子たちにもドリンクを考えてもらったりしてるんですか?
<大須賀> この作品はどんなイメージかと聴くことはあります。あとは、私がよく聞くのは今の流行ですね。それでやりたくてできなかったのがアサイーです。流行ってたじゃないですか。仕入れ先がなかったのと、あとは高価だったのでアサイーは実現できなかったんです。今どんなのが流行っているかは聞いて教えてもらうようにはしています。
――ぼっち・ざ・ろっく(LIVE STAGE『ぼっち・ざ・ろっく!』)とか、Fate/Zeroもそうですけど、アルバイトにすごいファンの子がいましたよね。
<大須賀> 知っている人に聞くのが一番ですね。
――前回のFate/Zeroの時も、どなたかが「7つ作るべき!」だって言ったんでしたね。
<大須賀> (辻村さんの)お姉ちゃんだよね。
<辻村> そうです。内容やキャラクターのイメージを聞いて。
――7種類が過去最多ですか?
<大須賀> 一番多いと思います。
<辻村> 冷蔵庫がぱんぱんです。
<大須賀> フル稼働だよね。ずーっと作ってるみたいな。
――この種類だけ売れないということもありますか?
<大須賀> 偏りはありますね。
<林> キャラによるよね。
――でも、それを見越して材料を用意するのは大変ですね。
<大須賀> 今回は前回を勉強したので!
<全員> (笑)。
――最後に、ご来場のお客様へのメッセージがあればお願いします。
<大須賀> 公演の期待度MAXでいらっしゃると思いますので、そこに付加価値を載せられればと思います。ドリンクを作ってお待ちしておりますので、ぜひお立ち寄りいただけたら嬉しいです。
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ミュージカル「Fate/Zero」のコラボドリンクを試飲させていただいたが、今回もこだわり抜いた7種類のドリンクはどれも美味しくて制覇したくなるコレクション。特に推したいのは、インタビューにも出てきた②番「セイバー・モータード・キュイラッシェ」で、まず煌めく透明な見た目が美しい。この透明にするというのが難しかったそう。「透明って水だけなんですよね」と伺い、確かになと。その涼しげな、一見透明なドリンクの中から、レモンゼリーが出てくるのが新鮮でマジックみたい。美味しくて、食感もいいし、食べ応えもある。エルダーフラワーシロップの香りとともに、五感で味わえるドリンクだ。①番「正義の味方」と、⑦番「エクスカリバー 約束された勝利の剣」は共にカルピスベースで、爽やかな甘みと華やかな甘み。まだまだ暑い9月にさっぱりと楽しんでいただける。公演の記念に、ぜひお気に入りを見つけて欲しい!
左より、①正義の味方、 ②セイバー・モータード・キュイラッシェ、 ③彼方にこそ栄えあり、
④アンリマユ、 ⑤エデンの蛇、 ⑥煙龍、 ⑦エクスカリバー
撮影・文:岩村美佳
※ドリンク写真(『パラサイト』、『天號星』、『TAIL to TALE ~Story from 義経千本桜~』、『HiGH&LOW THE 戦国』、『ふくすけ2024』)は除く
聞き手:THEATER MILANO-Za
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